「商人」としてのクロード・ロラン
17世紀に「理想的風景画」として多く制作された彼の作品は、ギリシア神話や聖書の物語を遺跡や廃墟などに溶け込ませることで、多くの支持を得ました。
当時のパトロンは、いわゆる「上流階級」に属する、教養の豊富な人々でしたから、彼らの作品への理解度はかなり高かったと思います。
でも彼の作品を見るたびに、私はいつも思うんです。
彼が本当に描きたかったのは、「理想的風景画」ではなかったのではないかなあって。
彼は本当は「風景画家」になりたかったのではないでしょうか?ただ、絵画ジャンルとして風景画を低く位置付ける当時の風潮に寄り添う形で、「これしか描きようがなかった」というのが本音だったと思うんです。
芸術家として生活するために世間のニーズを汲み取って、それを反映させたのではないか・・・。
そういう意味で、彼は「芸術家」であったとともに「商人」でもあったといえるかもしれません。
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